
人手不足が続く業界を中心に、特定技能外国人を採用する企業が増えています。しかし、外国人だからという理由で日本人より低い給与を設定したり、不利な労働条件で雇用したりすることはできません。特定技能外国人を受け入れる企業には、適切な雇用契約を結び、安心して働ける環境を整えることが求められます。
ここでは、特定技能外国人の労働条件について、給与や労働時間、福利厚生、企業側が注意したいポイントまで初心者にもわかりやすく解説します。
特定技能外国人の基本的な労働条件
特定技能外国人を雇用する場合、日本人の労働者と同じように労働関係法令を守る必要があります。特定技能という在留資格だからといって、企業が自由に給与や勤務時間を設定できるわけではありません。
特に重要なのが、報酬について日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上の水準にすることです。出入国在留管理庁でも、特定技能外国人の報酬について、日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上であることを求めています。
例えば、同じ経験や技能を持ち、同じ仕事内容を担当している日本人社員よりも、外国人という理由だけで基本給を低くすることは適切ではありません。
また、最低賃金や労働時間、休日、時間外労働、割増賃金などについても、日本の労働関係法令が適用されます。
確認しておきたい主な労働条件は次のとおりです。
給与や各種手当
勤務時間や休憩時間
休日や休暇
時間外労働の取り扱い
社会保険や労働保険
業務内容や勤務地
雇用期間
採用する際には、これらの条件を明確にしたうえで雇用契約を結ぶことが重要です。
給与や待遇を決めるときのポイント
特定技能外国人の労働条件を決める際、企業が特に注意したいのが給与と待遇です。給与は単に最低賃金を上回っていればよいという考え方ではなく、同程度の業務を行う日本人との比較が重要になります。
同じ仕事をする日本人とのバランスを見る
社内に同じ仕事をしている日本人社員がいる場合は、仕事内容や責任の程度、経験年数などを確認しながら給与を設定します。
同じ業務を担当しているにもかかわらず、特定技能外国人だけ大幅に給与が低い場合には、適切な報酬設定と認められない可能性があります。
社内に比較できる日本人社員がいない場合でも、賃金規程や近い業務を担当する社員の給与、職務内容、責任の程度などを踏まえて合理的に説明できる報酬を設定する必要があります。
福利厚生でも不合理な差をつけない
給与だけではなく、教育訓練や福利厚生などについても、外国人であることを理由に差別的な取り扱いをしないことが求められます。
例えば、一定の条件を満たす日本人社員が利用できる福利厚生について、外国人だからという理由だけで利用できないようにすることは避けなければなりません。
特定技能外国人を単なる人手不足を補う労働力として考えるのではなく、同じ職場で働く一人の従業員として適切な待遇を整えることが大切です。
特定技能外国人を雇用する企業が注意したいこと
特定技能外国人を受け入れる企業は、労働条件を整えるだけでなく、外国人本人が仕事内容や契約内容を十分理解できるよう配慮することも重要です。
特に日本で働いた経験が少ない人の場合、日本独自の雇用ルールや給与明細、社会保険、税金、有給休暇などについて十分に理解できていないケースがあります。
そのため、雇用契約を結ぶ際には給与額だけを伝えるのではなく、具体的な勤務条件についてわかりやすく説明することが大切です。
例えば、次のような内容を事前に共有しておくとよいでしょう。
実際に担当する仕事内容
基本給と各種手当の内容
給与の締め日と支払日
勤務開始時間と終了時間
残業が発生する可能性
休日や有給休暇
勤務地や異動の可能性
社会保険などの控除内容
条件を曖昧にしたまま採用すると、入社後に認識の違いが生まれ、早期退職やトラブルにつながる可能性があります。
また、1号特定技能外国人については、受入れ機関が一定の支援を行う仕組みも設けられています。生活面や就労面を含めた支援体制まで確認し、継続して働きやすい環境をつくることが重要です。
特定技能外国人が安心して働ける労働条件を整えよう
特定技能外国人を採用するときは、日本人とは別の特別な労働条件を設定するのではなく、日本の労働関係法令に沿って適切な雇用環境を整えることが基本です。
特に給与については、同じ仕事をする日本人と同等以上の水準が求められるため、仕事内容や技能、経験、責任の程度などを確認して設定する必要があります。
さらに、勤務時間、休日、残業代、福利厚生、社会保険などについても適切に取り扱い、本人が理解できるよう丁寧に説明することが大切です。
外国人材が長く活躍できる職場をつくるためには、採用することだけを目的にするのではなく、入社後の働きやすさまで考える必要があります。企業側が労働条件や支援体制をしっかり整えることで、外国人材との信頼関係を築きやすくなり、安定した雇用にもつながります。
特定技能外国人の採用を検討している企業は、制度の最新情報を確認しながら、自社の給与体系や雇用契約、受入れ体制に問題がないか事前に確認しておきましょう。
